「トップをねらえ!」の世界観を形作る要素の中でどうしても欠かせないのが「時間」というものです。
「トップをねらえ!」の世界では、対象となっている宇宙の規模が半端ではないため、宇宙船は超光速で移動することになります。
アインシュタインの相対性理論によると、高速で移動する物体は相対的に時間が遅くなるため、超光速(相対性理論を考えると、物体が光速を超えることは可能なのでこれはこれでおかしいのですが)で宇宙空間を移動しているノリコたちは、我々とはまったく違った時間の中で生きていくことになるわけです。
いわゆるウラシマ効果というやつですが、直感的には絶対時間の中で生きている我々は、果たしてこのような状況に耐えられるのでしょうか?
はじめて宇宙に出て帰還したときのノリコの感じた寂しさは、それほど想像しにくいものではないと思います。
そしてそんなノリコの姿を見たときに、友と同じ時間の中で人生を歩んでいけることの幸せを感じるのです。
「友と同じ時間の中で生きる」ということは我々にとってあまりにも当たり前のことですし、少なくとも私が生きているうちは、その常識が覆されることはないでしょう。
しかしそこには確かな幸せがあると、私は思うのです。
「もう一度高校時代に戻りたい」とか「~のころに戻りたい」という話をよく聞きますが、私は決してそのようなことは思いません。
もしもそのようなことができたとすれば、それは即ち「友と共有している時間を捨てる」ということに他ならないからです。
この世のものは留まることはなく、常に変化してゆくものですが、その中での不変量は友人や家族といった「流れる時を共有する者」であるはずです。
幸運にも我々にはそのような人がいますが、ノリコとアマノ(それ以外の人もそうですが)の場合はそうではなかったわけです。
今まで漫画やアニメに描かれてきたヒーローは、孤独な戦いを強いられてきましたが、その孤独の中にも時間を共有する人は必ず存在していました。
その点で考えると、「時間を共有すべき友」を振り払ったノリコとアマノは史上最強の英雄であったように思われます。
ブラックホール爆弾を炸裂させてから1200年後の地球に彼女たちは帰ってきたわけですが、あの瞬間の寂しさはもはや言葉にすることはできません。
この世の無常を一身に背負った彼女たちにとって、地球に浮き上がった「オカエリナサイ」の文字と、町の明かりはどれほどの喜びであったことでしょう。
あなたがもし「トップをねらえ!」を見たことがないのなら是非とも、最後までじっくりと見てほしいと思います。
そしてあなたもこの世の無常に涙し、友と時間を共有できることに感動してください。
この感覚はとても貴重なものであるように私には思えてならないのです。
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