鉄人28号(今川泰宏版) 魅惑のセリフたち
2010年7月30日
- 「それは使う人間の問題じゃあないかな。どんなに大きな力を持ったとしても、平和を守るために役立てるならそれでいいとは思わないかい?」
- これは第六話「奪われた操縦機」で正太郎が「僕は反対です。ロボット技術が戦争に利用されるなんて」というのに対して敷島博士が発したセリフです。なんとも敷島博士らしい。まったく正論ではあるがそうやって割り切れないのが人間というものであるし、結局は戦争に使われてしまう。他方で軍事利用できるくらいの技術でなくては人々の役にも立てない。世の中うまいこといかないものです。それにしてもこのセリフ「人を殺すのは銃ではない、人である」というアメリカ銃協会の爽快なスローガンに良く似ています。
- 「海の向こうに鉄人を持ち去る。それが条件じゃなかったのか!」
- これは第七話「悪の手先・鉄人暴れる」でアメリカのギャング、スリル=サスペンスに協力して鉄人を奪ったものの、スリル=サスペンスたちが鉄人を利用し日本国内で犯罪を犯し続けるのをみて言ったセリフです。傍から見ると実に間抜けなセリフです。鉄人28号を奪ってそのままアメリカにスリル=サスペンスたちが帰るなんてことはどう考えてもありえない。しかしながら、元陸軍諜報部の村雨健二がそいう事態をまったく想定していなかったと考えるのは少々無理があるような気がします。もしかしたら(というよりはほとんど確かに)鉄人28号を利用するとおもったとしても、どうしても鉄人を許すことができなかった村雨の哀しい決断であったのでしょう。間抜けですが、その分人の悲しさが伺えるセリフであります。
- 「聞こえるかい?聞こえるかい?ジョンソン。こちらケリー。聞こえるかい?ジョンソン。こちらケリー!・・・すばらしい、なんてすばらしいんだ。お前にも見せてやりたいよ。ここは僕たちの思ったとおりの世界だ。夢にまで見た広くて美しくて平和な世界。そうだ、ここには戦争なんて無い。あ~。・・・え?この体かい?・・・あ~いいんだ。いいんだよジョンソン。これは自分の望んだことだから。だから僕は行くよどこまでも、どこまでもね。・・・あ~すごいすごいよジョンソン。見てくれほら、このせかいで僕は何だってできるんだ。ジョンソン聞こえるかい?聞こえるかい?ジョンソン!」
- これは第十一話「超人間・ケリーの最後」で宇宙へ飛び立つロケットにしがみつきながら同じ夢を追った弟ジョンソンに語りかけた言葉です。長いセリフですがこのセリフが作品中最も私の心に響きました。あまりにも哀しい人生を歩んだケリーが最後の最後に手にすることができた喜び。戦争なかりせば他の生き方や夢を見つけることもできたかもしれないが、彼は戦争の時代が彼に見せた自由と平和の夢に殉じていった。きっと彼は幸せであったろうと思うしかないし、日々をのうのうと暮らす我々には彼に同情する資格さへも無いように思われる。我々は彼が見た夢に続くことができるだろうか?
