「オレは希代の英雄になっていたであろう男を潰したのだ!!」
これが誰の言葉か分かりますか?今ジョジョの話を思い出そうとしたあなた!残念ながらジョジョを全巻読み返してもこのセリフは出てきません。
ではいったいどこで出てきたセリフなんでしょう?
気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、このセリフは「北斗の拳」でケンシロウの実兄ヒョウがカイオウに向けて発した言葉です。
このページは北斗の拳のページではないので細かい説明は省きますが、上記のセリフは、自分の脆弱さゆえに優れた才能と精神を持ち合わせたカイオウが、悪の道へ走ってしまったことを嘆いて発した言葉なのです。
さて、私たちもこのような人物を少なくとも一人知っているのではありませんか?
必ずしも共感してもらえるとは思いませんが、私が言いたいのは「ディオ」のことです。
「ディオ」はコミック第四巻ぐらいになると徹底的に悪いやつになっていますが、その本質は「悪」ではなかったような気がします。
ディオがジョースター家に来る前の様子はほとんど描かれていませんが、コミック第一巻に少々描かれています。それは、チェスで勝ったお金で手に入れた薬を父に手渡すシーンです。あの親父(ダリオ=ブランドー)のことだから、ずっとあんな感じで酒を飲んでは荒れていたと思われますが、それでも「自分の父親だから」と思い薬買ってきたのでしょう。当然ダリオは仕事なんかしていないはずですから、ディオは何かしらの仕事をしていたでしょうし、さぞかし大変な日々を送っていたことと思います。なんてすばらしい息子でしょう!
が、しかし!
同様のシーンで、ダリオはものの見事にディオの心を潰してくれます。
せっかく薬を買ってきてくれたのだから「ありがとう」の一言をかけてあげればばいいものを、やつはそのお金で酒を買ってこなかったことを怒鳴りつけ、さらには亡くなった妻のドレスを売って酒を買ってこいと言いつけます。
この瞬間にダリオは、希代の英雄になるかもしれなかった男を潰したのです。
なんとも悔やまれます。この出来事で、ディオが父ダリオに対する憎悪の念を爆発させることになった要因のひとつは「母への愛」であることは間違いの無いことです。愛ゆえに崩れるとは、なにやら『サウザー』(北斗の拳のキャラクター)みたいですね。
ディオの事を考えるたびに私は「ディオがジョースター家の子供だったらなあ」と考えてしまいます。「もしも」がないのは漫画の世界も現実の世界も同じことなんですが、やはり悔やまれます。
ですが、希代の英雄は完全に消え去ったわけではありません。
ディオは第一部ではジョナサンに敗れ、第三部では承太郎にぼこぼこにされましたが、ジョジョの奇妙な冒険はそこでは終わりません。
つまり、第五部の存在を私は言いたいのです。
第五部の主人公ジョルノはジョースター家の血を引いていません。このことは、長らくジョジョを読んできた人にとっては結構衝撃的なことだったはずです。ですが、ジョジョ第五部では
失われた英雄がその姿を現しているのです。
なぜ第五部の主人公はジョースター家の人間ではなく、「ディオの子供」だったのか。私はずっと疑問でした。しかしながら、ディオという存在を振り返ってみたとき、私の中で第五部の存在が今までのそれとはまったく違うものになったのです。「もしもディオの心が潰れていなかったら」という私の疑問の答えがまさに第五部だったのです。希代の英雄になるかもしれなかった男は、第五部で、ジョルノ=ジャバーナと人物としてその能力を発揮したのです。
ディオは結局悪の道に走ってしまいましたが、ジョジョの奇妙な冒険の中でその本当の能力がしっかりと描かれていたのです。
こんな風に考えるのは私だけかもしれませんが、あなたも一度こんなことを考えながら第一部のディオ、そして第五部のジョルノを見てみるのもいいのではないでしょうか。
ただ、なんだかんだでジョルノは犯罪者ですから、その点は残念ですね。
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