驚愕の前フリ~あの時私は若かった~

漫画に限らず、読者(あるいは視聴者)を物語の中に引き込む要素として重要なのが「前フリ」です。私が知っている漫画の中で最もこの「前フリ」を多様しているのが「ナルト」です。「ナルト」の中では様々な「前フリ」が用意されており、読者に「これってどういうことなのだろう」と思わせるシーンやセリフがたくさんあります。

ですが、ジョジョの奇妙な冒険では極端にこの「前フリ」が少ないような気がします。確かにいわゆる「謎」というものは存在しますが、それはジョジョのそれぞれの部のははじめからの「謎」であって、特に誰か(あるいは何か)の「前フリ」がもたらす謎ではありません。「前フリ」が無いにもかかわらず、多くのファンを獲得したのだからやっぱりジョジョはすごいと思います。

ところで

ジョジョの中にはほとんど「前フリ」はありませんが、ゼロではないのです。そして第二部に確かに「前フリ」が存在します。どこかわかりますか?私が発見した(本来は発見知るようなものではありませんが)「前フリ」は以下のリサリサのセリフです。

「「エイジャの赤石」を破壊したらなお「やつら3人」たちを倒せなくなるとのいい伝えがあるのです。」

このセリフはコミック第八巻P175ページで、赤石を破壊することを提案するジョセフに対してリサリサが発したものです。このセリフだけをわざわざ引っ張り出してくると、ある疑問が浮かび上がります。つまり

「赤石を破壊したらカーズたちを倒せなくなるとはどういうことだ?」

という疑問です。

リサリサのセリフは、わざわざ赤石を守るためにジョセフたちが戦う理由を与えるものですが、同時に赤石が最後の砦になることも示しています。しかしながら、サンタナ、エシディシ、ワムウを倒す際には赤石はぜんぜんその姿を現していません。全部ジョセフが自力で倒しています。

ですが

思い出してみましょう、カーズが宇宙にぶっ飛ばされる前に起こった出来事を。カーズはこの直前に波紋でジョセフを攻撃しようとしています。その際迫り来るカーズに対してたまたま手に持っていた赤石をかざします。すると、赤石に命中した波紋が赤石によって増幅され、ジョセフの背後の岩盤を打ち抜くわけです。そのときのジョセフのセリフが

「せ・・・赤石は波紋増幅器だった・・・」

になるわけです。普通に読んでいてこの二つのセリフのつながり見つけることは容易ではありません。なぜなら、第二部を読み進めているうちに、赤石を守るために戦うことを当然のことと思ってしまうからです。この二つのセリフを結びつけるには、最後の最後まで、赤石を破壊しないことに疑問を持ち続け、リサリサのセリフを忘れず、その上でジョセフのセリフがをリサリサのセリフという前フリに対する答えであると認識する必要があります。この内のどれがなくなっても、当然ながら二つのセリフを結びつけることはできません。そして最も本質的な問題として、赤石が波紋増幅器であることが「間接的」にしかカーズ撃退に役立っていないということがあります。もしも、赤石でジョセフ自身の波紋を増幅してカーズを攻撃していたとしたら、多くの人がリサリサのセリフを思い出したはずです。

私自身この二つのセリフを結びつけることができたのはなんと大学に入ってからです。初めて読んだのは小学生の頃でしたから、随分かかったものですね。

前フリ事態がそっけない上に、その答えがわかりにくいというこの「驚愕の前フリ」。小学生だった私にはわかるはずもありません。

嗚呼、あの時私は若かった。

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